こんな溺愛、きいてない!
「凛花さ、食べ方、綺麗だな」


「え?」


遥先輩の柔らかい声に顔をあげた。

そんなはずはない。

慣れてないどころか、

こんなところ
ほとんど来たことがないんだから。


「食べ方って、
普段の生活がでるだろ。

凛花が普段から
丁寧に生活してるのがよくわかるよ」


穏やかに微笑む遥先輩の仕草は
まるで大人みたい。


洗練されたお店の雰囲気に
自然に溶け込んでいる
遥先輩のことを

なんだか恥ずかしくて、
まっすぐに見つめることが出来ない。


私なんて
この空間に緊張しちゃって、

とてもじゃないけど
楽しむ余裕も
ゆっくりと味わう余裕もないのに、


遥先輩は慣れた様子で
店員さん(ギャルソンだっけ?)
との会話を楽しんでいる。


「美味しい?」


瞳をやわらかく細めて、
遥先輩が甘く笑う。


「うん、すごく美味しい。
こんなに美味しいお料理、
初めて食べた」


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