2番目
ぶらぶら外を歩いているとき、走ってきた彼女に気付くのが遅れて俺と彼女はぶつかった。
「こんなの、舐めとけば治るんで!!」
「舐めるって・・・あはは」
その日、俺は久々に大声で笑ったかもしれない。
まだ初々しさが残るその子は、真新しい制服をきて。
でも寝坊をしたのか寝ぐせも少しついているし、汗もびっしょり。
それなのに、その子が綺麗だと思った。
それは、桜マジックだったんだろうか。
満開に咲き誇る桜の下で、自分が言った言葉に恥ずかしそうに顔を赤くする彼女が綺麗だと。
「あはは。うん、またね」
またね。そのセリフは嫌い。
だって、もう二度と訪れないかもしれないから。
それなのに、この子にそういってしまったのは、やっぱり桜マジックだったのかもしれない―――。