本当は好きなのに



 疲れ果てた新学期の翌日。


 今は昼休み。

 私は耀子と屋上で昼ごはんを食べている。

 そこは春のやさしくあたたかな風が包み込む幸せを感じる空間。

 そんな幸せを感じる空間で昼ごはんを食べているとき……。


「ねえ、遥稀」


「うん?」


「そういえば、松尾さ」


 ……え……? 松尾……?


「松尾がどうしたの?」


「あいつ二年のときに付き合ってた彼女いたでしょ」


「そうだね」


 松尾の彼女……。

 松尾に彼女がいるということは同じ学年では少し有名な話だ。


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