本当は好きなのに



「……だって私、別に一人で帰れるし」


 って。

 あ……。
 あぁぁ~‼ また私はそんなことを言ってぇ~‼


「…………」


 まっ……松尾~っ。

 やっぱり言葉が出ないよねっ。

 そりゃそうだよねっ。
 さらにあんな言い方されたら、何も言うことができなくなっちゃうよねっ。

 どうしよう~っ。
 どうしようっ、どうしようっ、一体どうすればっ。


 あぁぁ~っっ‼

 松尾~っ、何か言って~っ。



 こうして私と松尾の間に沈黙が続いた。

 でも、きっとそれは、ほんの一瞬の時間。

 ほんの一瞬の時間なはずだけど。
 私には相当長い時間に感じた。

 ……どうしよう……何か言わなくては……。

 ……でも……何を言う……?


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