本当は好きなのに



 今のこの雰囲気では何を言っても……。

 ……でも……でもこのままではいけない……‼

 私は心の中で思い切り深呼吸をして……。
 そして……。


「……あの……」


 勇気を出して言いかけた、そのとき……。


「聖志……」


 ……え……?

 突然、女の子の声がした。

 誰かが松尾のことを呼んでいる。

 気になった私は声がする方向を見た。

 すると、そこには同じ制服を着た女の子が松尾の方を見て立っていた。


 …………。

 私はその子を見た瞬間、圧倒された。

 顔立ちはとてもきれい。
 そして、その表情はほんの少しだけ涼しげに見える。
 見た目の年齢は高校生とは思えないくらい大人びて落ち着いた雰囲気。
 髪は羨まし過ぎるくらいのきれいでサラサラなストレートヘア。やさしく吹く風がその美し過ぎるくらいの髪をより美しくキラキラと輝かす。
 指は細くスッと伸びていて、手足は長く、頭から足のつま先まで全てが完璧。
 同じ女子としてこんなにも羨まし過ぎるくらいの……って……私はほんの一瞬でどこまでジロジロ見てるんだか……。

 って。
 ……ん……? あれ……?

 この女の子、どこかで見たことがあると思ったら……。

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