本当は好きなのに
次の日の放課後。
私は学校を出て家に帰る途中。
学校を出て十数分歩いて家まであと半分。
そこまで歩いたとき……。
……‼
……え……っ。
……なんで……。
「遥稀……」
なんで……松尾……。
「……松尾……どうして……」
どうしてここに……。
「……遥稀……ちょっといい?」
松尾はいつになく真剣な眼差しで私を見ていた。
…………。
……松尾……。
松尾が……。
松尾があまりにも真剣な眼差しだから……。
私は松尾のそんな眼差しに戸惑ってしまった。
戸惑ってしまったから。
私の心の中がざわざわと忙しくなってきた。
私は心の中が忙しくなりながら。
「……え……な……なに……?」
戸惑いがまるわかりに混じった言い方で返事をした。
すると。
「話があるんだ」
そう言った、松尾。
松尾の言葉に、さらに戸惑ってしまった、私。
だって……話って……。