Brillante amore! ~愛と涙のアオハルstory~
現在昼休み。
今私達は、教室で幹部会をしている。
「りんの席窓際でいいよねえ」
……あや、人のこと言えないと思うけど。
たしかに、出席番号順で最後になるりんの席は窓側で日が差し込む。
りんの隣の席であるあやも窓側の部類には入ると思うのだが、りんの席は格別だろう。
「…で、議題は?」
けいがりんに問う。
「当たり前じゃない、スプリングよ。」
気づいてたけど、決定事項なのか。
「……今日って木曜?」
ゆう、当たり。
「えっ、スプリングって日曜じゃん。」
えっ、スプリングって日曜だよ。
「ってことは…」
「「「あと3日」」」
お、金管幹部でハモった。
「よし、今の状況整理しよう。美玲、メモ」
OK。
私はファイルと筆箱を席から持ってきた。
「…何その紙。」
問いかけたのはあやだけど、みんな怪訝な顔してるよ。
まぁ隠すことでもないから答えるけど。
「『平成ヒットメドレー』のまとめ」
答えると、りんに紙を奪われる。
「あ、ちょ、、」
ダメではないんだけど。
「…いつ書いたの?」
りん、顔が怖い。
「朝学の時間。」
「…早乙女さん?」
あ、ヤバい、反応させる相手間違えた。
「言ったよね?」
はい、けい、言われました。
「大丈夫、十分許容範囲」
そう答えると、2人ともため息を着く。
「「…そういうことじゃないのよ。」」
…ほげ?
「美玲、スプリングの状況整理お願い」
あ、完全に忘れてた。
「ゆうありがと、それ忘れてた。」
ゆうが苦笑する。
新しくは白紙をとりだし、全ての曲名を書き出していく。
あれ、そういえば。
「演出関係どうなんだろ?」
考えてたことをあやが言う。
「司会の原稿は大丈夫かね。」
ゆう、2年生信用しようよ。
「放課後みるつもりだから、美玲よろしく。」
…え、道連れ?
「だめだよ、トロンボーンのパートリーダーは僕がもらってく」
ただ一緒に練習するといえば良いのでは?
私はこの状況をどうにかしようと口を開く。
「えっと、譜読みの完了してないのはあと3つでいいのかな?」
…みんな、本気で考え込んじゃう?
「そうね」
「やったことある曲まだ合奏してないから結構不安だよね。」
けい、同感だわ。
「あぁ、それは設楽先生に聞いたら土曜にやるかって」
相変わらず部長仕事早い。
「ねぇなんで設楽先生朝練いなかったの?」
あやの質問に金管3人で頷く。
「ああ、それはね」
りんが口を開く。
「子供の送迎」
…は!?
そういえば、小さい子供がいるって昨日ママから聞いたような。
「え、設楽先生何歳?」
ゆう、顔が本気。
「たしか50くらいだよね」
私は質問に答えることだけに留めた。
「それで朝練来ないってすごいわ」
あや、それ褒めてるの?
「言い換えればイクメン?」
けい、そこ?
「んで、朝練には顧問がいなくちゃだめだっていっといたんだけど」
りんが話を続ける。
「マジの顔で『大丈夫でしょ』って」
はぁ。
「なんか問題増えたな。」
「「同感」」
男子2人ありがとう。
「…シートのセット系は日曜だよね?」
おぉ、あやが話戻した。
「それは保護者会のプロフィがあるからそれ参考に後で決めないと」
りん、嘘でしょ。
「じゃあ土曜までに全部終わらせないと。」
ゆう、悪魔だからそれ。
そこでけいが口を開いた。
「谷先生って日曜に来るんだよね?」
……あ。
前顧問である谷先生。
今回のスプリングコンサートでは、3月の新人戦で演奏した曲を谷先生の指揮の元で演奏することになっている。
半年練習した曲とはいえ、2週間のブランクはだいぶ大きいので、谷先生とのリハーサルが組み込まれている。
ただ、新曲への焦りが大きすぎてけいが言い出すまではその事を忘れていた。
…この感じはみんなもわすれてたよね。
「まぁ土曜までに終わらせとけばどうにかなるよね」
なんかけいごめんね。
「よし、真面目に会議しよう」
りん、私嫌な予感がするんだけど。
「今までも真面目だったよ。」
あやぁ、そうじゃない。
このあと、教室移動のぎりぎりまで幹部会は続いたのだった――
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現在の時刻、4:10。
帰りの学活が終わり、りんとあやと音楽室に向かっているところである。
結局幹部会では、
今日と明日で新曲の譜読み
土曜に全曲のリハ
日曜の午前に演出系リハ
ということで話がまとまった。
「ねぇ美玲」
あや、完全に企んでるよね。
「何?」
一応聞いておくか。
「お昼休みにけいがいってた『僕が貰う』発言はどういうこと?」
……それか。
「ああそれ私も気になった。」
りん、乗っかるな。
「最上段のみんなで練習しよっていう話になってるからそれのことだと思う」
正直に答えると、あやは不満そうな顔をした。
「なんだ、つまんないのー」
「それなー」
こら、そこの女子、盛り上がるんじゃない。
そうこうしているうちに音楽室についた。
「…2年生って学活終わるの早いのかな」
思わず声に出す。
だって。
「セッティング終わってる」
「3-5も早い方なはずなのに」
この真相を確かめるために、私はトロンボーンパートの後輩である渋谷萩(しぶたにはぎ)に声をかけることにした。
「ねぇ萩」
「美玲先輩!どうしたんですか?」
「今日2年生早くない?何かあったん?」
私がそう訪ねると、萩はなんと言ったことの無いという顔をして答えた。
「6時間目が学年集会だったんですよ、なのでみんな学活の終わりが早かったんです」
なるほど。
りんとあやをみると、2人も謎の解けた顔をしている。
「そういうことね、ありがとう」
「いいえ、全然大丈夫です」
じゃあ、有難く準備しよ。
後輩に話しかけられてるりんをおいて彩と一緒に準備室の楽器を取り出す。
音楽室に行こうとしたところで、声をかけられる。
「あ、美玲来て」
なんだね部長。
「んー?」
りんの元へ向かうと、アルトサックスの2年生である泉裕紀(いずみゆき)とホルンパートの後輩である上原小春(うえはらこはる)が一緒にいた。
あぁ、スプリングの司会のやつね。
「これ、昼休み言ってたの」
やっぱり。
「一応チェックお願い」
え、するの。
「OK、じゃあ私が読んでる間に楽器準備してきちゃっていいよ」
私がそういうと、司会のふたりは
「お願いします」といって準備室へと向かっていった。
りんに渡された司会原稿を読む。
……まぁ、悪くは無いと思うけど。
「これ、シャーペンで書いちゃっていいと思う?」
隣にいたりんに問うと、
「いいんじゃない」
という返答が来た。
…あ、あれ言っとかないと。
「そういえばさ」
私は口を開く。
「何?」
「今日けいに一緒に帰ろって言われたから帰れない。ごめん。」
「OK」
…なんか違和感。
原稿を読んでいたので目線をりんの方へ向けると、彼女はどこか暗い表情をしていた。
え、何があったの。
「…それじゃバリサクの音も悪くなるわよ」
私がそう言うと、りんは驚いたように顔を上げる。
「美玲」
「何?」
「今日2人で話す時間が欲しいんだけど」
…奇遇ね、私もそう思ってたところよ。
「じゃあ彼氏は放っておく。」
そう茶化すとりんは苦笑した。
「それはやめて」
はいはい。
「じゃあ病院の隣にある公園で待ってて」
「いいよ」