Brillante amore! ~愛と涙のアオハルstory~

学生指揮



スプリングコンサートから2日後。

私は自分の席である、2の川の前から2番目の席に座っていた。

あと3分で5時間目が始まるからだ。

(実行するのか、あの作戦…)

その作戦は、昨日けいと話し合って決めた喧嘩解決だ。

それの決行は明日の朝練時、ということになっている。

ちょっと憂鬱。

そう考えていると、教室に先生が入ってきた。

「ごめんね、遅れて」

ほんとだ、2分遅れてる。

「じゃあ、日直号令」

…日直私じゃね。

「起立、礼」

「「お願いします」」

教室での挨拶は、部活の時と違って控えめだ。他のみんなも同じ。

「美玲、終わりの号令は俺がする」

…あら、ゆうきくん、お願いね。

「OK」

みんなが席に着くと、先生は喋り始めた。

「みんな、修学旅行の班発表とテスト返し、どっち先がいい?」

――えぇ!!

「修学旅行!」

「テスト!」

みんな自由に意見を出す。

そう言えば、修学旅行があったね。

私の学校では、修学旅行は3年のGW明けにある。

行先は定番の京都・奈良だ。

「じゃあ、テスト返し先にするから」

先生、あの質問はなんだったの。

このテストというのは、先週行った業者のテストだ。

にしても、返ってくるのが早いなとは思うが。3年生だからだろうか。

「じゃあ、番号順に結果の表取りに来て」

…私どのくらいだろ。

先生から紙をうけとる。

「美玲、教えてよ」

けい、勝負するの?

「わかった、ちょっと待ってて、まだ見てない」

「はい」

私は結果を見る。



国語:98
数学:94
社会:100
理科:95
英語:97
合計:484

…まぁ、業者のテストにしては良いのかな。

「けい、紙交換でいいの?」

「うん。」

了承を得て、私はけいと紙を交換する。

国語:95
数学:100
社会:96
理科:99
英語:96
合計:486

負けた。

「えぇ悔しい!」

思わず声を張って敗北宣言をしてしまう。

「やった!」

心底けいは嬉しそうだけど。

「というか、理科の99って何したの」

「単位忘れじゃない?」

「あーあ、惜しい」

「僕に負けといてよく言うよ」

――ったく、この男は!

けいを睨むと、全員に用紙を配り終えたらしい先生方こちらに来た。

「2人とも高得点ね。学年1位と2位よ。」

…それ、いつものことなんで。

「ありがとうございます」

けい、私が勝ってたらそういうこと言ってないよね?

「けい、全国学習状況調査も勝負するの?」

「あぁ、明後日と明明後日の?」

「それ」

「いいよ」

「はい、じゃあ自分の席戻って」

先生に言われ、私は悔しさを抱えながら席に戻る。

「じゃあ、修学旅行の班発表します」

「班長よろしく」

あ、それでいいんだ。

私のクラスは合計33人。

確か班の数は6班になるはずだから、5人と6人の所が出てくるであろう。

…あれ、あやって班長だったんだ。

そういえば、学級委員は自動的に班長になるといっていた。

あやは「内申がやばい!」といって学級委員になった(他の幹部は学級委員に興味無い)ため、あやが班長なのは当然といえば当然のことである。

「じゃあ、3班のメンバーを発表します」

あやじゃん。

「班長は私、美園あや。あとは、早乙女さん、新川くん、鍋谷くん、和高さんです。
よろしくお願いします」

えぇ!!幹部みんなじゃん!

あや、仕組んだね?

他の幹部を見ると、みんな「やっぱり」という顔をしている。

え、もしかして驚いてるの私だけ?

でも、そんな気持ちとは裏腹にどんどん修学旅行への期待が膨らんでいくのであった――
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