Brillante amore! ~愛と涙のアオハルstory~


体トレも無事?に終え、私はトイレに向かう。

「…やっぱり」

なんとなく予感はしてたけど、女の子の日が来た。

でも、おかしい。いつもより1週間遅れているのだ。

学生ってそんなもん?

薬はさっき飲んだけど、お腹も頭も痛いし、貧血気味だし。

最近タチ悪くなってきたな、私の身体。


いいや、とりあえず基礎合奏だよ。

私は指揮台にたち、みんなに指示を出す。

「9:00ジャストにはチューニング済ませてください」

「「はい」」

ハモデの調節をしながら、みんなの準備が整うのを待つ。

…痛い。

朝何となく感じて薬を飲んだから、効いてきてもおかしくないはずなんだけど。

仕方ない、お昼休みは安静にしてるか。

「はい、では木管からチューニングお願いします」

9:00になったので、基礎合奏をはじめる。

3回ほど行ってどうにか音程があってきた。

(…なんか、私いつもより音感鈍い?)

いつもは音の微妙な高低も聞き分けられたはずなのに。

「金管お願いします」

金管のチューニングをしても、やはり同じだった。

1年かけて身につけた音感を簡単には捨てたくないのに。

「ロングトーン」

なんとかやる気を引き起こそうとするが、簡単には出てこない。

でも、とりあえずはやる!

なんとか全身の痛みや難聴に耐え基礎合奏を進める。

9:50。ちょっと早いけどいいや。

「では、基礎合奏を終わりにします」

「「ありがとうございました」」

合奏のことをメモし、ハモデの電源を落とす。

よし、とりあえずパート部屋には行こ。

そう思い、立ち上がる。

(あ、やばい。目眩。)

それに車酔いの比にならない吐き気がする。

トイレ向かわなきゃ。

私は扉に向かって歩き出した。


はずだった。

(あれ?)

なんだか視界が段々真っ白になっていく。

(やばい、私倒れてる!?)

そういえば左足からぐらついたような気がした。

「美玲?!」

「美玲先輩!!」

私はみんなの声を何となく感じた。

「大丈夫」と言おうとしたけれど。



私はいよいよ完全に落ちたのだった――
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