Brillante amore! ~愛と涙のアオハルstory~



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そうして公民館の記念式典を終えた次の日。

今日は午後練だ。

…一応GWだけど。



いつも通り一番乗りで学校につき、下駄箱に向かう。

そして、上靴を取り出す





はずだった。





「え?」



見ると、私の上靴には大量の画鋲が置いてある。しかも濡れているようだ。


「何この古典的ないじめ」


――果たして人に恨まれることなどしただろうか?

とりあえずビニール袋に上靴も画鋲も入れ、玄関のスリッパを借りて履く。

こんな沢山画鋲があるんだったら酸化の実験出来そうだな。

午前中やっていた理科の復習を思い出す。


って、そんなことより。

「ソロだよ、ソロ」

結局自由曲として決まった『ミュンヘン’s レクイエム』にはトロンボーンのソロがある。

正確にはトランペット…つまり、けいと一緒の。

掛け合いって言う方がいいのかな。

ドイツの都市であるミュンヘン。

そこを舞台にして様々な愛を語ったのがこの曲、『ミュンヘン’s レクイエム』。

レクイエムって亡くなった人向けの曲って意味だから矛盾してる気もしてるんだけど。

作曲者によると、トランペットとトロンボーンの掛け合いソロは「結婚式」を舞台にしているらしい。

結婚式かぁ。

『僕と結婚するつもりないの?』

病院で言われた言葉が反芻される。

ちょっと恥ずかしいです。




気分を逸らすため、トロンボーンを組み立てながら上靴の件について考えてみる。

…誰なんだろ。

昨日今日と部活があって室内に入るのは吹部だけだから、部員であると踏むのは良いだろう。

悲しいけどね。

どう考えても故意にやったとしか考えられないんだけど、昨日私が帰った時りんがいたし、1番遅かった。

それに、誰の鞄もないから私が一番乗り。

わざわざ嫌がらせのために学校に来るほど暇じゃないよな。

うーん、わからん。

目的もイマイチわからないし。

そんなに誰かに迷惑かけたかな?

「失礼しまーす」

すると突然、2年生達が音楽室に入ってきた。

…いつもみんなこんなに早かったっけ?

タイミングがタイミングなので、どうしても疑いの目を持ってしまう。

「どうしたの、いつもこんな早かったっけ?」

できるだけ平然としながら、私の斜め前にいる結愛ちゃんに話しかける。

「あ、今日は午後からで早起きしなくてもいいじゃないですか。だからいつもより早く来ました」

なるほど。確かに早起きは辛い。

「そういうこと。」

嫌がらせのためではないか、流石に。



そう安堵したけど。



17:18。練習を終え、りんと一緒に玄関に向かう。

だけれど、なんだかいつもより人が多い。

なんだろ。




「――まじか。」

下靴を取り出そうと下駄箱に向かうと、その下靴がなかった。



「美玲」

声をかけられて見上げると、幹部の男子2人がいた。

「来て」

2人にいわれ、ついて行くと、そこは玄関のゴミ箱。

えっ、まさかの?




見ると、私のものとみられる下靴が泥だらけになって捨ててあった。

…いや、どうやって帰ろう。

野次馬が多かった原因がわかったけど。








問題が増えて、みんなにバレたぞ。




さて、どうしよう?
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