Brillante amore! ~愛と涙のアオハルstory~
「きっとね、朱里ちゃんはけいくんのことが好きなのよ」
愛莉は自信満々にいった。
「美玲が倒れた時、けいくん凄まじい勢いで飛んでいってたじゃない?」
え、そうなの。
「朱里ちゃんはそれを見て嫉妬したのよ、自分の大好きな先輩がとられた!ってね」
「いや、取られたも何もないけど」
けいが大真面目な顔で言う。
「それはそうなんだけど。多分ああいうタイプは彼女いても気にしないThe・肉食よ」
怖っ。
「きっと、朱里ちゃんはけいくんの彼女である美玲をゆさ振ればどうにかなるって思ったんじゃない?」
愛莉は推理をかます。
「だって、けいくんがとんでった時凄い怖い顔して2人のこと見てたのに、急に笑顔になってトランペットの女の子と話してたもの」
「えっ、じゃあ…」
「トランペットの女の子4人か」
りんは驚くべきことをいった。
「なるほどね、確かにみんなけいに脈アリだったもの。2人が交際宣言してからはちょっと控えてたみたいだけど。」
「全然わからなかった。」
けいが意外だという顔で言う。
「というか愛莉よく見てるわよね」
あや、褒めてるのかけなしてるのか分からない。
「まぁうちだから!(笑)
というかみんな美玲に気を取られてたけど、普通に喋ってる声大きかったよ?」
「えっ」
みんなが面食らっている。
「というか」
ひとまず戻ったりんが口に出す。
「美玲、その4人をどうしたい?」
――どうしたい?
「えっ?」
訳が分からず聞き返す。
「少なくともうちらは美玲を苦しめようとしてる4人が許せないんだけど」
みんなが頷く。
うーん、そうはいっても。
「今現在私そんな苦しめられてないよ。それに、心当たりないとはいったけどよく考えたら学指揮だから何やっても罪被るのよね。」
「ホントにいってる?」
「ゆう、そんな顔しないで。大丈夫、そういう覚悟で学指揮の仕事はやってるから。」
「倒れたのに懲りないわね。」
「それは原因過労だけじゃないらしいし。というか仕事が楽しいから。でも……」
「何?」
「4人含めてけいのこと好きな人にはけいを諦めて欲しいかな。」
とりあえずこれだけだ。
けいが私のことを好きでいてくれているのは身をもってわかるけど、やっぱり不安だ。
私は少し考えると、口を開いた。
「少し4人を泳がせてみたい。
今のところグレーだけど黒じゃないから、これだけじゃとっつけられない。
それに、私に来た恨みだもの。とりあえずは自分で片付けたい。」
私がそこまでいうと、みんなはため息を着く。
最初に口を開いたのはあやだった。
「確かに物証がないからね。」
「それで美玲が納得するなら。」
ゆう、ありがとう。
「うちをこき使ってね。」
愛莉らしいわ。
「じゃあ、GWまでよ。GWが終わるまでに片付けられなかったら、うちらが4人を問いただすからね。」
部長ありがとう、妥協してくれて。
ところが、けいの口から何も出てこない。
「けい?」
りんがそう聞くと、けいはやっと口を開く。
「あのさ。」
何?
「後輩と今まで通り関われる自信がないんだけど。」
あ。
「まさか好意を寄せられてるなんて思ってなかったし、美玲の言い分もわかるけど、許したくないから。」
うーん、後半はなんとも言えないや。
「とりあえずは今まで通りになるよう頑張って。GW後からキレていいから。」
性格を熟知しているりんがけいにアドバイスをする。
「でも、あんまやりすぎないでよ」
「善処する。」
…決着、つくかな。