『妄想介錯人』



――意味の無い“出逢い”など、あるのだろうか?
もし、そこに意味が無いのなら……、それは僕自身に意味が無いせいではないのか?
もし、そこに意味が在るのなら……、いや、意味を見つけられるのなら……


そうだ、出逢った意味はその“出逢い”そのものよりも僕の中に在るのだ。
相手にそれを求めるのは二の次にしよう……。





煙草は見事にその原形を留めつつも、本質は全く違うと悟すように灰になってフィルターまで燃え尽きていた。
僕はひたすら慎重に灰皿に落とす努力をしなければならなかった。








戻ってきた彼女は、僕のTシャツをパジャマ代わりに着ていたがひどく大きなTシャツに見えた。




僕がシャワーを浴びる間、彼女は何か音楽をかけていってほしいと頼んだので、僕はターンテーブルにとっておきのレコードをのせ、テーブルには冷えたペリエをのせてバスルームへ向かった。
身体が湯冷めをする前にベッドに入るよう促すことも忘れなかった。





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