『妄想介錯人』
「ウッ……、はい」
「おい、吐くなよ。一個だけ? 他には?」
「はい……一個だけ。オェッ……、他ナシ……ウッ……です……」
「ああ、もういい。鑑識の邪魔だ。外、出てろ。こんだけ腐ってんだ、臭うのは当たり前だっつうの」
「……ずびばぜん」
「だぁから、要らねっつったんだよ」
(……それにしても、一個だけねぇ。意味ありげだな。他にねぇってことは、最初からそのつもりか? 何か隠したか?)