『妄想介錯人』
彼女はまず、僕の部屋のゴミを集め、一日たった干しかけの洗濯物を見つけ、もう一度洗濯機ですすぎ洗いと脱水をかけて続きをかってでた。
「洗ってすぐに干さないとしわくちゃになるのよ」と教えてくれたりもした。
僕は洗濯物を干す彼女の後ろ姿に、先程彼女が母と口にしたせいもあり、今は亡き母の面影を思い出したりもした。
どうして、女と云う生き物は掃除や洗濯がこうも上手に出来るのだろうか?
古来より備わった不思議な能力なのだろうか?
そして音楽を聴いたり、それについて話したりしているうちに彼女は自分の服に着替え、少しばかりの化粧をして僕の家を後にした。
次に逢うのは、土曜の夜だと約束をした。