好きって言えたらいいのに
2
階下に降りて、リビングに入る。そこにはキッチンに立つお母さんと、座椅子でお茶をすするおばあちゃん。テーブルの上にはおいしそうな朝ごはんと、読み終えて畳んだ様子の新聞が置かれていた。お父さんはもう店先に出ているのだろう。いつもの光景、いつもの我が家。
「ヘイちゃんもねえ、もう芸能界なんてやめて魚富さん継げばいいのに。そうしたら富志さんも安心だろうにねえ。」
お母さんが私の弁当を包みながら言った。それをありがたく頂戴して鞄に詰める。
「ヘイちゃんは何歳になったかねえ?」
「27だよ、おばあちゃん。」
私は所定の位置につき、ご飯を口に含みながらおばあちゃんに答えた。
「27歳でまだ、デビューできないんでしょう?同期の人はもう辞めた人もいるらしいじゃない。」
「グループとしてCDデビューしてないだけで、先輩の舞台に出たり、雑誌に出たりとか、そこそこ人気もあるんだよ。」
お母さんが、斜め向かいの椅子に座り、湯呑をさすりながらため息をついた。
これ以上の会話は平行線。ケンカになりかねんと判断した私は、残りのおかずをかき込んで、「ごちそうさま」を伝え、足早にその場を後にした。
「ヘイちゃんもねえ、もう芸能界なんてやめて魚富さん継げばいいのに。そうしたら富志さんも安心だろうにねえ。」
お母さんが私の弁当を包みながら言った。それをありがたく頂戴して鞄に詰める。
「ヘイちゃんは何歳になったかねえ?」
「27だよ、おばあちゃん。」
私は所定の位置につき、ご飯を口に含みながらおばあちゃんに答えた。
「27歳でまだ、デビューできないんでしょう?同期の人はもう辞めた人もいるらしいじゃない。」
「グループとしてCDデビューしてないだけで、先輩の舞台に出たり、雑誌に出たりとか、そこそこ人気もあるんだよ。」
お母さんが、斜め向かいの椅子に座り、湯呑をさすりながらため息をついた。
これ以上の会話は平行線。ケンカになりかねんと判断した私は、残りのおかずをかき込んで、「ごちそうさま」を伝え、足早にその場を後にした。