医者の彼女
荷物を持ち、部屋を出る。
マンションのエントランスを抜けようとすると
管理人さんに声をかけられた。
管理人「お出かけですか?」
たまに挨拶くらいはしてたけど、
こんな風に話しかけられるのは初めて。
「…あ、はい。ちょっと。」
不思議に思いながらも当たり障りなく返す。
管理人「…大丈夫ですか?」
多分泣いているから。
「…大丈夫…です。」
管理人「…夜は雨が降るそうですが、
傘はお持ちですか?」
そういえば…ニュースでそんな事言ってたかも。
でも、取りに帰る暇なんてない。
和弥さんの事だから、電話に出ないのを
不自然に思って帰ってくるに違いない。
早く出て行かないと鉢合わせてしまう。
「…はい、大丈夫です。ありがとうございます。」
そう言って出ていこうとするが、さらに続けられる。
管理人「あの…失礼な事を聞きますけど、
どちらに?」
「……。…失礼します。」
どこに行くなんて、自分でも分からない。
頼れるアテなんてないし…
でもここにはもう居られない。
その気持ちだけだった。
マンションのエントランスを抜けようとすると
管理人さんに声をかけられた。
管理人「お出かけですか?」
たまに挨拶くらいはしてたけど、
こんな風に話しかけられるのは初めて。
「…あ、はい。ちょっと。」
不思議に思いながらも当たり障りなく返す。
管理人「…大丈夫ですか?」
多分泣いているから。
「…大丈夫…です。」
管理人「…夜は雨が降るそうですが、
傘はお持ちですか?」
そういえば…ニュースでそんな事言ってたかも。
でも、取りに帰る暇なんてない。
和弥さんの事だから、電話に出ないのを
不自然に思って帰ってくるに違いない。
早く出て行かないと鉢合わせてしまう。
「…はい、大丈夫です。ありがとうございます。」
そう言って出ていこうとするが、さらに続けられる。
管理人「あの…失礼な事を聞きますけど、
どちらに?」
「……。…失礼します。」
どこに行くなんて、自分でも分からない。
頼れるアテなんてないし…
でもここにはもう居られない。
その気持ちだけだった。