医者の彼女
「ん…」

目を開けると見覚えのない天井。

…夢。

ということは、生きてるんだ…私。

夢で良かったと思いながら、
あのまま死ねてたら楽だったのに…
という気持ちも抱く。

何より、夢が妙にリアルで…何となく現実を
物語っているようで余計に切ない。



ここは…どこ?




目覚めた場所はどうやら病院のベッドの上らしい。
ちょうど、看護師さんが点滴交換の準備をしている。

どのくらい眠ってたんだろうか…
長いこと寝てたようにも感じるし、
全然寝てないような身体の怠さも感じる。

ふと、初めて病院に行った時の事を思い出す。
同時に和弥さんを思い出して、また泣きそうに
なっている自分がいる。

我ながら…未練がましい女。

看護師が気づいて、声をかけられる。

看護師「よかった、目が覚めたんですね。
今、先生をお呼びしますね。」

そう言われてドキッとするが、入って来たのは
知らないお医者さんだった。

和弥さんじゃない事にホッとするのと同時に少しの寂しさと、知らない医者という恐怖心。

そして、不本意ながらもまた病院に罹って
しまっているという現実。


本当に情けない。
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