医者の彼女
エピローグ
*
それから私は数日間入院して、家に帰った。
脳の検査も特に問題はなく、喘息の方も
落ち着いて、退院の許可がでた。
入院中は京介さんがお見舞いに来てくれたり、
慶太さんや正隆さんも仕事終わりに顔を
出してくれたりして、少しずつだけど、
病院に対する恐怖心も薄れていた。
これからは一人で病院にも行けそうだ。
ソファに座ってしみじみと思う。
初めて会った時…怖かったし、嘘つかれてたし、
勝手に病院連れて行かれるし。
最悪な人だと思ってたはずなのに、
今となっては誰より安心できる人。
父親との再会で、もう一緒に居れないと、
自分から離れたのに…
もうここに戻ってくることは無いと
思ったはずなのに…
結局は離れる事かできなかった。
1番大好きなこの場所に帰ってこれた。
ふと隣を見ると愛しい人が居て、改めて
幸せを感じる。
あれから和弥さんは、形だけはきちんと
しておこうと言って、律儀に父親に挨拶に
行ってくれた。
私はもう会いたく無かったし、どうせ他人
なんだからそんな事しなくていいって
言ったんだけど、一応ケジメらしい。
帰ってきた和弥さんの手には手紙が握られていた。
見たくない、捨ててという私にしつこく
渡してくるから渋々読む。