医者の彼女
和弥「…い、おい、起きろ。」

「んっ…」

目を開けると、私服姿の和弥さんが立っていた。

しばらく沈黙の私。

…えっと…この状況は。
…そう。検査終わって、仕事が終わるまで
待つように言われてたんだ。

「…わっ‼︎」

和弥「…反応鈍っ。帰るぞ、送るから。」

「えっ…あ、はい。すみません。お願いします…」

そう言って帰る準備を始める。

…今回も点滴はすでに抜かれていた。

和弥「帰る前に、熱だけ測って。」

言われるまま測ると、37.6℃の表記。

和弥「うん。まぁ、大丈夫だろ。」

だいぶ下がっていて安心した。

和弥「よし、帰るか。」
そういって病院を出ると、ちょうど同じ時間に
帰宅しようとしているスタッフが何人かいた。

その中に…

正隆「あれ!亜妃ちゃんっ⁉︎何でここに…」
と言いながら、すぐに横にいた和弥さんに目をむける。

…同じ病院勤務だったのか…

正隆「え、ちょっ…。もしかして…そういうこと⁇」

…意外。とでも思っているのか、
結構びっくりした顔で私たちを交互に見ている。

和弥「…ただの患者だ。」

正隆「あ、患者ね。でも亜妃ちゃん病院…
嫌いじゃなかったけ?行くの相当嫌がるって
聞いた気がしたけど…もしかしてさ…」

この顔…和弥さん目当てで行ったのか、
って思われてるな…人の気も知らないで。

和弥「…だから、俺が無理やり連れてきた。」

そう、無理やり連れてこられたんですよ。

私は被害者なんですよ…
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