ブラックサンタクロース〜悪い子はどこ?〜
「今日も悪いことするの?」

ヴァイナハツマンがあたしに訊ねる。あたしは「当たり前でしょ」と言った。今日は雪は積もってるけど降ってはいない。人が家から出てくるかもね。

「今やめないと後悔するよ」

ヴァイナハツマンの言葉を無視し、あたしはテリトリーから街へと歩いていく。今日はどんな悪いことをしよう。

ヴァイナハツマンの視線など気にしないことにした。



気がつけば夜になっていた。街は昼間よりも煌めいている。こんな時だけど、綺麗だななんて思ってしまった。その手には、ガキから巻き上げた硬化が何枚も握られている。

「しっかし貧乏なガキだったな〜。いい服着てたからもっと金持っていると思ってたんだけど〜」

この金で何を買おう。高いものは買えないな。そんなことを考えていたら、「時間切れだね、残念」とヴァイナハツマンの声がした。

「は?こんな日にも説教するつもり?」

そう言いながらあたしは振り向く。そして、言葉を失った。ヴァイナハツマンは黒いサンタクロースの格好をしていた。その手には巨大な白い袋を持っている。
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