ブラックサンタクロース〜悪い子はどこ？〜

「何その格好。コスプレ？キモいんだけど……」

あたしがそう言うと、ニタリとヴァイナハツマンは笑う。その笑顔にあたしはなぜかゾッとした。本能が警告している。こいつは危険だって……。

「僕がどうしてこんな格好しているかって？」

ヴァイナハツマンはニタニタ笑いながらあたしに近づいてくる。前のように殴りかかりたいのに、体はなぜか動かない。ヴァイナハツマンは袋をあたしの頭にかぶせた。目の前に広がる暗闇。ヴァイナハツマンの声が響く。

「僕はサンタクロースだからだよ。ブラックの方だけど」

その刹那、あたしの体はすっぽりと袋の中に詰められてしまった。



煌めく街を歩けば、子どもたちや多くの人の笑顔。僕は袋を背負って歩く。聖なる夜には似合わない真っ黒な格好で。

サンタクロースには二つ種類があるって知ってたかな？一つは赤いサンタクロース。みんながよく知る通り、良い子にプレゼントを届けるんだ。

僕はブラックサンタクロース。悪い子の前に現れる。そして悪い子を攫っていくんだ。どこに行くかって？それは内緒。

さて、そろそろ次の悪い子を攫いに行かなきゃね。もしかしたら……君の後ろにいるかもしれないよ？