ねえ、知ってる?【上】
「じゃあ」
私は玄関までの階段を上がり、もう一度大和くんの方を見た。
あ、まだいる・・・。
大和くんは私の後ろ姿をずっと見てくれていた。
優しいんだな、本当に。
私は「ありがとう」の意を込めて、大和くんに笑いかけた。
「苗、あのさ・・・また・・・・・・甘いモン食いに行こうな」
「っ!! うん! 行こう!」
『甘いモン』を恥ずかしそうに誘ってくれた大和くんに手を振り、私は家の中へと入った。