ねえ、知ってる?【上】
と言いながら目線を逸らし、顔の横の髪をくるくると触り始めた陽十香。
照れてるのかな、これは。
「・・・・・・正直ね、怖いんだ」
「怖い・・・?」
うつむいて話す陽十香はとても寂しげに見えた。
「うん。前の彼氏ね、ずっと目指してた大学が通えないところで。私もどうしても志望校は変えられなかったから、それでギクシャクし始めて・・・・・・。半年くらい前に結局別れちゃったんだ」
「うん・・・」
大学に入る前、と言っていたけど、大学が決まる前から別れることを決めていたんだ。
前に二年付き合っていた、と言っていたしたくさんつらい思いもしたんだろうな・・・。