ねえ、知ってる?【上】
 


 私の様子がいつもと違うと察してくれたのだろうか。


 雅暉さんはいつものヘラヘラした感じを見せず、真面目な大人に見えた。


「いや、私が悪いんです・・・。なんだか私が変で、ごめんなさい」


「いーや、僕の悪ふざけだよ。全部僕が悪いから、そんな顔しないで? まあさせちゃったの僕だけどね・・・!」


 そんな顔・・・・・・。


 雅暉さんこそ、いつものように明るく笑ってよ・・・。


 そんなに申し訳なさそうな、悲しそうな顔しないでよ・・・・・・。


 胸がまた早く動き出す。


「き、気を付けてくださいね・・・!」


「おっ、苗ちゃんも言うようになったな~。はい、気を付けます!」


 
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