ねえ、知ってる?【上】



「苗」


「ん??」


 大和くんが少し重い空気の中、私を呼んだ。


「その人に彼女がいても、苗が誰かを好きになれたことは良いことだから」


「っ・・・・・・。うん・・・!」


 少しずつ目の奥が熱くなるのを感じた。

 
 そうか。


 初めてだ・・・。


 初めて誰かを好きになった。


 私がしたいと思っていた恋はこんなものだったのか。


 
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