ねえ、知ってる?【上】
『僕と付き合ってみる?』
そう言われたことを思い出して、また胸が高鳴った。
もし自分が雅暉さんだけの特別な人になれたら、どんなに嬉しいだろう。
「はぁ・・・・・・」
「苗ちゃん? 大丈夫?」
「あっ、いや、何でもないです・・・!!」
いけない・・・。
ため息が思わず出てしまった。
バイト中に私は何を考えているんだろう・・・。
美舟さん、優しくて声まで可愛くて嫌になっちゃうな。
なんにも勝てない。
「こんなに暇だと、ため息も出ちゃうよね」
「た、確かに今日は結構落ち着いていますね」