ねえ、知ってる?【上】
美舟さんとうまく話せない・・・。
こんな自分が嫌になる。
「ねー! 美舟ー、苗ちゃーん! ちょっとこっち来て!」
18時30分。
あと30分で雅暉さんが帰ってしまう時、キッチンにいた雅暉さんに呼ばれた。
店内のお客さんはいつも来てくれる常連のおじいさんだけだった。
「あんね、新作メニューのつもりでこないだ家で色々考えて、二種類あるんだけど、見た目だけだとどっちが良いと思うか見て欲しい」
「あー、前言ってたやつね! 良いよ」
「っ・・・・・・」
私はうなずくことしか出来なかった。