ねえ、知ってる?【上】
「一応男だよ」
その後、私は黙々と仕事を終え、家まで急いで帰った。
お母さんが用意してくれていたご飯も口にせず、自分の部屋へ駆け上がる。
ベッドに飛び込んで、溢れてきた涙を枕に押しつけた。
訳もわからず、ただつらかった。
どうしても美舟さんと自分を比べてしまう。
私は夢中で陽十香に電話をかけていた。
『な、苗!? どうした??』
「ひ、陽十香ぁー・・・・・・」
『え、え、苗、泣いてる!?!』
まだ私が雅暉さんのことを好きだということは、大和くんしか知らない。