ねえ、知ってる?【上】



 私の隣に座っている大和くんは、私が袖を引っ張っても目を合わせてくれなかった。


 いつもは易しい目で私を見てくれるのに、どうしてだろう。


「大和、くん・・・・・・?」


 私は目の前の陽十香と雨野くんの顔を交互に見た。


 二人も、なんとなく気まずそうな顔をするだけで目を合わせてくれない。


 ど、どういうことだろう。


「ごめん苗。気にしないで。俺は苗のこと、応援してる・・・・・・」


 大和くんはやっと目を合わせてそう言ってくれた。


 「応援」というのは多分、雅暉さんのことだろう。


 陽十香と雨野くんがいるからそういう風にぼかしてくれたのだと思う。


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