ねえ、知ってる?【上】
まだこの時代に親の許嫁と結婚しなければならない、なんていう理屈が通ってしまうなんて・・・。
雅暉さんの口元は笑っていたけど、目の奥は悲しそうだった。
ずっと、ずっと二人が付き合っていなければいいのに、と思っていたけどこんなのは望んでいなかった。
こういう、雅暉さんが傷付く別れ方は、違う。
いや、何を考えいてるんだ私。
仮に雅暉さんが私を選んだ末に美舟さんと別れたとしたら、美舟さんが傷付いていたじゃないか。
元々、恋人のいる人を好きになってしまったんだ。
明るい未来なんて、ない。
あったとしても、誰かを傷付けてまで手に入れるものなのか・・・。