ねえ、知ってる?【上】



「・・・・・・そんなことないです。雅暉さん、私を傷付けないようにしてくれてるんですよね・・・?」


「そりゃあ苗ちゃんのことは傷付けたくないけど、俺も自分の気持ちに嘘はつきたくないんだよ・・・。未成年相手に何言ってんだってのは重々承知してるけど、自分にまっすぐに向かって来てくれる苗ちゃんを、簡単に突き放したり出来ない」


 いつものチャラチャラした雅暉さんではない気がした。


 誰にでも気さくに話しかけて、「女たらし」とまで言われているくらい、女の人に目がない部分もあるけど、こんな雅暉さんは今まで見たことがなかった。


 とても真剣なまなざしを私に向けてくれていた。


 奇跡かもしれないと思った。


< 289 / 395 >

この作品をシェア

pagetop