ねえ、知ってる?【上】



「なあ苗」


「ん・・・・・・? どうしたの??」


「さっきはごめん。苗が、その・・・・・・あの人に告白するなんて、想像もしてなくて・・・・・・・。それで・・・・・・動揺してた」


 大和くんは申し訳なさそうに頭を押さえながらそう言った。


『さっきの』は、大和くんが雅暉さんのことを否定したことだ。


「そうだよね。私も自分があんなこと言うなんて、自分でもびっくりしてる。ははっ」


 思い出してはまた恥ずかしくなって顔が赤らむ。


 あの時の雅暉さんの表情や声色が忘れられない。


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