ねえ、知ってる?【上】
「苗を、その人に取られたくないって思った」
「え・・・・・・?」
大和くんは私の目を見つめながらそう言った。
いつもより顔が真剣で、少しだけ赤い。
「苗のことが、好きだから」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
大和くんの顔を見れば、それが冗談じゃないことはわかる。
咄嗟のことに声が出なかった。
私の目の前に座っている大和くんの顔を見れなくなった。
大和くんは、私のことが好き・・・・・・?
全然気が付かなかった。
いつも優しく私を見守ってくれる、お兄ちゃんみたいな存在で私の大切な友達。