ねえ、知ってる?【上】
肩につくギリギリくらいの長さで揃えてもらった髪を外ハネにセットし、春らしいオレンジのメイクで垢抜けた可愛い私。
髪色に合わせた眉毛に、研究して見つけた自分に似合うアイシャドウとリップ。
明るい気分が余計に顔も明るく見せてくれる気がする。
今はこんな大学生になった私だけど、高校生の頃はおしゃれに気を遣ったことなんてなかった。
学校では部活に所属せず、にひたすらコンビニでバイトをしていた。
特にしてみたい部活もなかったので、帰宅部を選択したけど、あまりにも退屈だったので家から一番近いコンビニでアルバイトをすることにしたのだった。
パートのおばちゃん達が優しくしてくれたから、こんな私でも三年間続けることが出来た。
学校では根暗で通っていたと思う。
伸ばしっぱなしの長い黒髪。
メイクなんてしたことがなかった。
おまけに私は少し卑屈な部分がある。
自分がいくらおしゃれをしたってな、と諦めてただひっそり生きていた。