ねえ、知ってる?【上】



「私・・・・・・私は、みんなが大事・・・」


「苗・・・・・・」


 今の私が言えることはそれしかないと思った。


 陽十香のことも、雨野くんのことも、大和くんも、大事な大事な仲間だ。


 今、私が胸を張って好きだと言えるのは雅暉さんしかいない。


『無理かどうかは俺が決めることで、苗が決めることじゃないよ』


 大和くんのその言葉が何度も頭の中をループする。


 大和くんは全く諦めていない。


 そんな強い意志が、私にはあっただろうか。


 雅暉さんのことを思うたびに、『自分には無理だ』と決めつけていたのではないだろうか。


 
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