ねえ、知ってる?【上】
「これくらい、ダメ?」
それから私たちは各々好きな曲を数曲歌って、雅暉さんとの約束の六時半が来た。
陽十香は「楽しんでね!」と言って帰ってしまった。
時計の針が約束の時間に近づくにつれ、胸が高鳴った。
雅暉さんが何分に来るのだろうと焦る。
待ち合わせって、どんな顔で待っていたら良いんだろう・・・。
私はソワソワと携帯を見たり、時計を見たりしながら雅暉さんが来るのを待った。
「苗ちゃん! お待たせ」
駅前の広場に立っていると後ろから雅暉さんがやって来た。
電車に乗って来たのではないみたい。