ねえ、知ってる?【上】
そんなの、嫌だ。
叶わなくたって良いと思っていたけど、それでもやっぱり雅暉さんが良いと思ってしまう。
雅暉さんがそうじゃなかったとしても、私は雅暉さんが良いんだ・・・。
「ごめんね。苗ちゃんをのことを大事にしたいし、出来るなら俺が幸せにしたいとも思った。でも情けないけど、もう他の人とは付き合えないかもしれない。29年も生きてきて一回の失恋でこんなこと言ってるの、本当に情けないけどね」
雅暉さんが出した苦しそうな声に何も言えなくなってしまった。
情けなくなんてない。
そんなに思うくらいに美舟さんのことを大事に思っていたんだよね・・・。
「本当に、苗ちゃんとの年の差を気にしてる訳じゃないし、苗ちゃんを否定してる訳じゃないんだよ。ただ、俺の問題なんだ」
「わかってます・・・・・・」