ねえ、知ってる?【上】



 どう断られたって、簡単に忘れられない。


 好きをやめられない。


 可能性がなくたって、好きなんだ。


「・・・・・・困るな~苗ちゃん」


「え・・・・・・?」


 眉を下げながら私の目を見つめる雅暉さんから目が離せなかった。


「身を引こうと思ってるのに、そんな可愛いこと言われたら引きにくくなる。俺本当にダメ男だから、やめといた方が良いよ?」


 そんな顔しないでよ。


 つらくなる。


 どうしてそんなことを言うの。


「俺、寂しいから自分のことが好きな苗ちゃんとデートしたり、手を繋いだり、こういうこと言っちゃうんだよ」


「でも・・・・・・・・・」


「俺が全部悪いの。ごめんね、本当にごめん」


 ああ、もう本当にダメなんだ。


 
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