ねえ、知ってる?【上】
もう雅暉さんのことは考えたくない。
考えるとつらい気持ちばかりになる。
「ごめんな、困るよな」
「うん・・・・・・。大和くんの気持ちを、そんな風に扱ったり出来ない」
「先走りすぎた。ごめん」
大和くんは何も悪くないのに、謝らせてしまう自分が嫌になる。
「でも、俺は苗がつらい時そばにいる。傷付けないし、いくらでも話聞くから。いつでも頼って」
前は私に意地悪なことを言っていたのに、今日の大和くんは前と変わらず優しい。
今日の私にはその優しさがすごく染みる。
大和くんを好きになったらきっと幸せになれる。