ねえ、知ってる?【上】



 それを頭では理解出来ているのに、他に好きな人がいると簡単にそう気持ちは変えられない。


「これからはちょっとずつ苗にアピールする」


 こんなに誰かに思われたことがないので、自分がどうしたらいいのかわからない。

 
 大和くんの後ろに通行人が見えて、私はふと我に返り無性に恥ずかしくなった。


 家の前でこんなことを話しているのをもし、近所の人に見られていたりしたら恥ずかしい。

 
「や、大和くん。あの、今さら申し訳ないんだけど・・・・・・・・・とりあえず中、入って・・・・・・。お母さん出張でいないから」


「あ、いや・・・そんなつもりなかったし、良いよ。もう帰る」


 そう言って大和くんは時計を見た。

  
 もう11時半になっていた。


「・・・・・・・・・終電何時だっけ?」


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