ねえ、知ってる?【上】



 ・・・・・・元はと言えば、私を元気づけようとわざわざこんなところへ来てくれたのだ。


 もし風邪をひかれては私のせいになってしまう。


「と、とりあえず、何か飲み物入れるよ。入って・・・・・・?」


「・・・・・・・・・・・・悪い・・・」


 大和くんは申し訳なさそうに私の後をついて来てくれた。


 自分の家に男の人を入れるのは初めてのことで、少し緊張する。


 部屋は片付けているけど、自分の生活スペースを見られるのが恥ずかしい。


 私はリビングに案内して、アイスティーを入れた。


「悪い。これ飲んだら今日は駅前のカラオケにでも行くわ。ありがとう」


「・・・・・・・・・・・・家、泊まっても大丈夫だよ」


「・・・・・・・・・いや、お母さんが不在の時にそれはやばいだろ。さすがに帰る」



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