ねえ、知ってる?【上】



「良い。苗が悪い時なんか今まで一度もない」


「・・・・・・・・・」


 涙が止まらなくなった。


 本当はこんな風にして貰いたかった。


 どうして好きになってしまったのかも、どうしてこんなに好きが募ってしまったのかもわからない。


 初めて恋をした。


 初めてこんな気持ちになれた。


 恋の仕方も、方法も、コツも、何もわからなかった。


 大和くんは優しく微笑んでくれた。


 この笑顔に何度救われてきたことか。


「はは。苗、目の下黒くなっちゃってる」


「えー! こすっちゃったからだ・・・・・・」



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