ねえ、知ってる?【上】


 大和くんは私の涙を手で拭ってくれた。


「メイク落としてきたら?」


「いやー、スッピン見せられないよ・・・・・・」


「なんで? 良いじゃん」


「良くないよ・・・。私、そばかすがひどいから」


 メイクを落とすと、コンシーラーで見えないようにしているそばかすが見えてしまう。


 メイクを覚えてから、メイクをしていない顔を人に見られるのが嫌になった。


「コンプレックスって、自分だと肯定出来ない部分かもだけど、俺は苗のどんな部分も否定しないけど」


「っ・・・・・・」


 不意にそんなことを言ってくるからずるい。


「わかった・・・・・・・・・。落としてくるね」


 ずっと自分の顔に自信がなかった。


 メイクをしていないと自分を可愛いと思えなかった。


 ずっと否定していた。


 自分のそんな部分を、大和くんに見せるのは気が引けたけど、少しだけ自分のことを肯定出来るようになるかもしれないと思った。



< 388 / 395 >

この作品をシェア

pagetop