ねえ、知ってる?【上】
『家に誰もいないから泊まって行って欲しい』なんて言えない。
でもだからと言って帰って欲しくない。
大和くんが私のことを好きだということを知らなかったら、もう少し楽に言えたと思う。
「苗、素直になったら? それともまた意地悪なこと言われたいの?」
Sっぽさを出してくる大和くんに、不覚にもときめいてしまった。
自分にこんな一面があったなんて知りもしなかった。
どうして意地悪そうな大和くんにときめいてしまうんだろう。
私は掴んでいた手を離した。
「一人でいたくないって思ったの・・・・・・・・・・・・」
自分の気持ちがどんどんわからなくなる。
大和くんに対してどんな気持ちを持っているのか。
「・・・・・・・・・苗さ、俺が好きだってこと、本当にわかってんのか?」
「え・・・・・・?」