ねえ、知ってる?【上】
『・・・308』
「え・・・・・・」
『俺の部屋の番号だから、入ってきて良いよ。部屋は空いてる』
「308・・・わかった!」
部屋に鍵をかけていないなんて、いくらオートロックの玄関があるとは言え、不用心だな・・・。
私は入ってすぐのところにある玄関先で308のボタンを押した。
中の桐谷くんが玄関を開けてくれた。
また私の鼓動が早くなることに気が付いた。
エレベーターもあったけど、なんだかすぐに部屋に着いてしまうのが少し恥ずかしくて階段を使った。
一段、一段上る足が震えてきて、余計に緊張が増す。