ねえ、知ってる?【上】
「忠告だよ。俺はそんなことはしないけど、他の奴だったらわからないよ」
「あ、ありがとう」
まだ胸がドキドキしている。
あんなに近くに桐谷くんの顔があったんだ。
思わず顔に見とれてしまった。
私のしたことが大胆だなんて・・・。
そんな風に思われていたなんて恥ずかしい・・・。
「あのね、私、お母さんが一人で育ててくれたの。それで、小さい頃とか、熱出た時もお母さんは仕事に行っちゃってたりしたからひとりぼっちで・・・・・・。すごく悲しくて・・・。それを思い出して、つい、桐谷くんも一人じゃ心細かったんじゃないかなって思って・・・・・・」
言い訳をしようとした訳じゃないのに、なぜかそんな話をしていた。