星降る夜、君ともう一度
「ちぃちゃん?」

不思議そうな顔をして朝日が首を傾げる。智月は「いや!何でもない!」と真っ赤な顔を誤魔化し、ゼリーを慌てて平らげた。

本当は、朝日の頭を撫でようとしていた。無意識のうちに朝日に触れようとしてしまう。智月は「恋って変になっちゃうんだな」と朝日に聞こえないように呟いた。

列車はガタガタと揺れるが、二人の他に乗客はいない。智月と朝日の貸し切り状態だ。そのため何をしてもいい。

「ちぃちゃん、あそこに行こうよ!」

ゼリーを食べ終えた智月に朝日が目を輝かせる。そして席を立ちまだ座ったままの智月の手を取った。死者のはずなのに体にある体温に智月は胸を高鳴らせてしまう。

朝日に手を引かれて智月がやって来たのは、淡い水色に輝く花々が咲いている場所だった。この列車は不思議な部屋がたくさんある。

「今年も綺麗に咲いているんだね」

智月は微笑み花に触れる。その隣で朝日もしゃがんで「綺麗だよね〜」と無邪気に笑っていた。
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