星降る夜、君ともう一度
花を二人で見た後は、図書室やゲームをする部屋に行ってたくさん遊んだ。時間が経つのはあっという間で、時を止めたいと智月は強く思ってしまう。

「……もうすぐお別れかぁ」

星を見ながら朝日が寂しそうに呟く。もうすぐ時計は真夜中になる。七夕が終わってしまうのだ。智月と朝日が再び会えるのは来年の七夕になってしまう。

「もうすぐ、だね」

泣くまいと智月は無理に笑う。去年もそうだった。朝日の前では何もないように笑って列車が夜空の彼方へ消えてしまった後に大声を上げて泣いた。

朝日は心も体もあの時のままだ。だから、無邪気に笑って智月に平気で触れてくる。智月の手をまた朝日は握った。その手は相変わらず小さい。

なぜ朝日と会えるようになったのか、智月は毎年不思議に思う。朝日と出会えるため、智月は女子とはあまり話さないようにしていた。もしも、自分に恋人ができれば朝日に会えなくなると思っているからだ。

「ちぃちゃん、無茶する時があるから怪我とか気をつけてね」
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