トクベツナヒト。
「おはよー、梓」

「…おはよう、鳳舞」


幼い頃から馴染みのある鳳舞。

…そんな彼は、いつからか、私に対する執着が激しくなって…、私たちの関係も、鳳舞自身も、何もかもが狂ッタ。


「梓、今日学校行く?」

「うん、行く」


機嫌が良さそうだった綺麗な顔を、不機嫌そうに歪める鳳舞。

…いくら独占欲が強くても、学校に行くぐらい許せよ、って思ってしまうのも仕方ない。


「…そ」


鳳舞が、私に学校に行って欲しくないと思ってることぐらい気付いてる。

私だって、学校も、先生も、クラスメイトも大っ嫌いだ。

陰口は興味もないけど、直接手を出してくるイジメはうざいし、それを見て見ぬふりする先生と学校も嫌い。

…所詮そんなもんだ、ってわかってたけど、初めの頃は苦しかった。

…だけど。
そんな事で学校に行かなくなるなんて、私のちっぽけなプライドが許さない。


「…うん」

「んじゃ、早く飯食べて。一緒に行こ」


…あぁもう。

全部わかってるくせに。

ハイスペックな上に、容姿も完璧に整っている鳳舞は、男女問わず人気者だ。

だけど、彼から人を求めたりすることはない。

そんな彼とずっと一緒にいると、「あぁ、鳳舞が一緒にいたいんなんだな」なんて、誰でもわかる。

でも、盲目に好きになってる馬鹿達は、「無理やり鳳舞君といる姫野さん、調子乗ってない?」なんて意味わからない思考で、私を妬む。

そんな事、考えなくてもわかるでしょ?

…鳳舞は、私が人に好かれることも、関わる事も嫌うから。

…わざと、私が嫌われるようにやってる事なんて、知ってるんだよ?

そんなあなたが、みんなに好かれるあなたが、


「…うん。一緒に、ね」




私は大っ嫌いだよ。
< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop