夏祭りが終わるまで、この花火が終わるまで
「金魚すくいしようか。今年も負けた方が焼きそばを奢る!」

「する!今年こそ勝つ!この日のために特訓してきたから!!」

いつからか恒例になった金魚すくい対決を行う。負けた方が何かを奢るんだ。今年は焼きそばにした。

花日は毎年僕に負けている。それでも、笑って勝負をしてくれるんだ。

「それじゃあ、始め!!」

僕の声で勝負は始まる。妖のほとんどは運動神経などが優れている。金魚すくいや射的が得意なものが多い。僕は次々に赤い金魚を水の入ったお椀の中に入れていった。

隣を見れば、花日も一生懸命金魚を捕まえている。去年より多く捕まえている。金魚すくいに夢中になりすぎて、浴衣の袖が揺れていた。

「ああ〜!!今年も負けた〜!!」

「フフッ。でも惜しかったね。来年は勝てるんじゃない?」

「お兄ちゃん、いっつもそう言うじゃん!!」

捕まえた金魚を手に僕たちはまた屋台の並ぶ通りを歩き出す。すっかり夜になったこの場所には、多くの妖が集まっていた。
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